今日もまたひとり・・・小さな子供が転倒して頭を打って救急車で運ばれてきます。
来院時、子供はケロッとしているのに、お父さんお母さんはオロオロ・・・
受傷の状況、打撲部位、意識消失の有無、手足の麻痺(脳の損傷による神経症状の有無)などをチェックしますが、ほとんどのケースで異常はありません。
むしろ診察室内を走り回ったり、見たこともないような機械や道具を触ったり、いたずらしたり・・・・
ご両親に一通り説明して、最後に聞きます。「頭のCT撮影をどうしましょうか?」
子供の意識消失を伴わない頭部外傷で、CT撮影を行う。。。。。
利点は、すぐに脳の損傷や出血などが視覚に訴える形で出てくるので、ご家族は安心できます。
でも、CTで何も無くても、微少な出血があって、後から症状が出現することだってありますし・・
欠点は何よりこのご時世・・放射線を浴びせることでしょう。子供の場合、年間の許容量の1/3くらいは浴びせることになります。
ここでお気づきかと思いますが、元気な子供にCT撮影をする、一番の目的は「家族の安心」なのです。(おお!極論!!)
そのために高い費用をかけて、放射線を浴びせて、画像検査をする・・あまり賛成したくないですね。
じゃあ、MRIなら放射線浴びせないけど・・・でもCT撮影以上に時間かかるし、その間、トンネルみたいなところに子供を一人で入れなきゃいけないし・・・何より高い。
最近、医療費削減の風潮の中、医療機関は生き残るために、収入を増やす努力をしています。日本の保険制度は変なことに、やった医療行為に対してお金が出るので、よほど変な医療行為でなければ、たくさんやってしまった方が儲かるのです。
だから、たくさん検査が行われます。不要かもしれない検査が・・・
2012年4月の医療費の改正。プラス査定とはいえ、必要経費の値段上昇の方がはるかに高いので、医療機関にとっては実質マイナスです。
当然、医療機関は収入は維持したいので不要な検査が増えるのでしょうね・・・
結局、国が出す医療費総額は減らないことになります。
もう少し政治もそういうカラクリを考えて欲しいですね。額面減らせば良いってもんじゃないでしょうに・・・良い医療を受けるにはどういう価格を公示すればいいのか?真剣に考える官僚はいないのですかね?
まあ、不要と思いながら撮ったCTで異常が見つかった割合が3〜5%もある!という論文もあるのですが・・・・
我が子が頭をぶつけたら・・・あなたならどうしますか??
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みい (火曜日, 10 1月 2012 19:33)
あけましておめでとうございます。年末年始お忙しいと思い書き込み遠慮しておりました。本日より娘の医大も新学期が始まりました。
CT撮影ですが、一患者といたしましては先生の判断を頼りにするしかないと思います。以前娘が耳の辺の頭を打って、診断がつくまで色々検査されました。酷い吐き気とめまい微熱、結局耳の皿
がずれて突発性頭位めまいで、こんな子供がなるのは論文物だと言われました。とにかく酷いめまいで、吐き気があり車いすに乗
せ検査に追われ、脳内出血なんて最悪の状況が頭を横切り生きた心地せず車いすを押しておりました。友達におんぶされ、ぐるぐ
る回っている時、学校の壁に耳の辺を打った様で特殊な状況で起きた現象でした。当時インフルエンザもはやっていて何が何だか
わからない親の精神状態でした。CT撮影が必要な状況では被爆まで考えられないことも多々あるかとも思いますが、昨今の患者さんは、後日何か不服を言う人もいるかも知れませんね。
院長 (火曜日, 10 1月 2012 22:20)
みいさん、明けましておめでとうございます。
CTやMRI・・・難しい判断ですよね。
これらの機械が開発されていない時代には頭をぶつけて重症になってた子供が多かったのでしょうか?CTを撮影することで死亡率が減少してるのかな?
もちろん症状が出ている場合は必須だとは思うのですが・・・
結局は医師が情報を与えて、家族に決めていただくしかないのでしょうね・・
でも、この正しい情報ってのが難しい・・・常に最新の情報を仕入れなきゃいけませんから・・・今の医師の多忙さからは、十分な情報を得るのは難しい状況です。
某医大生 (水曜日, 11 1月 2012 00:38)
あけましておめでとうございます。
昨年その節は大変お世話になりました。その後特にご挨拶もせず、失礼をお許しください。
勉強熱心な先生はとうにご存知かもしれませんが、書き込ませていただきます。ご参考になりましたら幸いです。
Kuppermann N, et al. Lancet. 2009 Oct 3;374:1160-70. Epub 2009 Sep 14.
Identification of children at very low risk of clinically-important brain injuries after head trauma: a prospective cohort study.
院長 (日曜日, 15 1月 2012 09:34)
某医大生さん お久しぶりです。そう!その論文をいつも参考・・(心の支え)にして、できるだけ安易なCT撮影しないように心がけているのですよ。
でも、両親や祖父・祖母・さらには親戚が揃うと、「調べてくれ!」という風潮になるもんで・・・臨床は大変です。
不安ママ (水曜日, 18 1月 2012 23:10)
お正月、息子が高熱、咳がひどくて受診しました。2時間待たされ結果、風邪と判断。
私はなんかふにおちないまま薬をもらって帰宅。その後も高熱、咳が治らないため他の病院を受診したら、マイコプラズマ肺炎だよと。
レントゲンをとると肺は真っ白。
川越救急クリニックでレントゲンをとってればこんなに息子は苦しまずにすんだと思うと息子に申し訳ない。保険の点数と言うより、検査はちゃんとやってもらいたい。
院長 (木曜日, 19 1月 2012 00:44)
不安ママさん
コメントありがとうございました。私は胸の聴診で異常音が聴こえる、かなりひどい咳嗽が続いてたり、粘稠な喀痰が出ている場合は胸部X線撮影をしていますが、それ以外ではできるだけ放射線検査を控えています。
不安ママさんのお子さんはもしかしたら聴診で異常音を聞き逃したかもしれませんね。申し訳ありませんでした。
当院を受診後、まだ症状が改善されない場合はできるだけ近隣の小児科を受診するようにお伝えしているのですが・・・
最近、当院も休日の外来は2時間待ち、3時間待ちが普通です。(多分埼玉医大を始めとする休日診療やってる施設みんなそうだと思います)
皆様にはご迷惑をおかけしてますが、休日働く医師が少ないという事をご了承ください。