医療報道

先日、「千葉県がんセンターで歯科医が無資格で外科麻酔！」という報道がされました。すっぱ抜いたのは読売新聞。

 

ところで、私、開業前からとある事情により（現在では生活のために欠かせないアルバイト）千葉県がんセンターで毎週１日、麻酔をしています。

したがって、今回の被告扱いになっている歯科医の先生も、それを告発した女医さんも知っているのですが・・・

まあ、個人的な問題はともかくとして、あの読売の報道姿勢には許しがたいものがあります。

 

内容的には完全に女医さんの言い分のみを取り上げ、事件にしてしまっており、「大病院の不正を暴いてやった、正義のヒーロー」という感じなのでしょう。

しかし、世の中には正さなくていい・・・いや、正されるとみんなが困ることがたくさんあるのです。

そもそも、「歯科医が・・・」と書くと、その辺の普通の歯医者さんが外科手術に立ち入って麻酔したように思えませんか？

そうではないんです。歯科医の中にも、専門がいろいろあって、その中の歯科麻酔を専門にした先生なんですよ。

歯科麻酔だからと言っても、研修としては他の麻酔も経験しながら、麻酔中の管理方法や全身状態の把握等々、いろいろなことを学ぶのです。

卒業したての研修医よりもよっぽどまともな麻酔しますけどね・・・

だから、せめて「歯科麻酔医が・・・」と書くべきでしょう。

 

さて、歯科麻酔科医が麻酔の研修をしながらも病院の戦力として働いている病院は全国にたくさんあります。今回のことが事件として扱われてしまって、困っている病院はたくさんあるのです。

下手をすると、手術件数を減らさなければ麻酔が回らなくなる病院も・・・

実際、今週、私は３件の麻酔をしました。いままでの週より多いです。明らかに麻酔科医の負担は増えます。

ただでさえ、麻酔科医が不足しているから、看護師に麻酔をさせよう・・なんて案が厚労省あたりから出ているのです。

 

読売新聞社を始めとするマスコミ各社は、この事件を暴いて、誰が幸せになるのか考えて報道しているのでしょうか？

誰も幸せにならない・・・むしろ受けられるはずだった手術が受けられない可能性も出てきている・・・さらには県立病院の存亡にまで関わるかもしれません。

誰のために？？単なる病院いじめにしか見えないのですが・・・

 

読売新聞社主・・渡辺氏は私の高校の大先輩なのです。しかし、国民や県民の利益を考えない記事を載せるとは・・・情けない。。。。。。